施工の効率化に「3D図面」が活躍
今年4月、国土交通省は土木工事における施工や検査などのプロセスで、現在の二次元の紙面図を前提にした基準を変更し、三次元データによる新基準を導入した。その見直しの背景には、建機のICT化をいち早く進めてきたコマツの存在がある。
同社の油圧ショベル「PC200i-10」は、ドローンやレーザースキャナで作成した工事現場の3D図面を入力すると、曖昧なレバー操作でもバケットが正確に作動する。GPSで自らの位置を割り出しながら、経験の浅いオペレーターでも熟練者と同等の作業を再現できるのだ。未経験者が3日ほどの講習で作業をこなせるようになるため、人材不足に悩む土木業界で注目を集めている。
(左)最新型のマシンコントロール油圧ショベル「PC200i-10」。(右)コマツのクラウドサービス「KomConnect」のサービス画面。「盛土量」「切土量」として進捗が「%」で表示されているのがわかる。
同社のスマートコンストラクション推進本部の四家千佳史本部長は言う。
「我々の目的は現場のすべての人、機械、土をつなげ、施工のプロセス全体をリアルタイムで可視化することです」
そこで同社がICT建機とセットで提供するのが、工事現場を「見える化」する「スマートコンストラクション」事業だ。
「従来の施工の方法にICT建機を入れるだけでは、全体の効率化にはつながりません。作業手順そのものを見直す必要がある」
スマートコンストラクションでは工事開始前の現場を3D化し、そのうえで土質の解析や効率のいい施工計画を割り出す。1日に必要な作業員や重機の数と作業状況を把握することで、工事の一連の動きを管理する。
「現場ではICT機能のない建機や人も同時に働いています。ですが、現場に一台でもICT建機があれば、施工現場をステレオカメラで撮影し、瞬時に三次元化することもできます」