仕分けの自動化に1400億円投資
ネット通販の一般化で荷物量が激増している宅配業界。深刻化する人手不足を、自動化によって補おうという代表例がヤマト運輸の羽田クロノゲートだ。総事業費1400億円。1日あたり60万個の仕分けを行う輸送ネットワークの拠点である。
クロノゲートでは1階でトラックから荷物が降ろされると、「ロールボックスパレット」と呼ばれるかご車が、荷物を自動的に仕分けラインの付近にまで運んでいく。
圧巻なのは、上の階の無人エリアにある「クロスベルトソーター」というベルトコンベア。
そこでは時速9.6kmの速さでラインが稼働しており、センサーが形の異なる荷物の大きさや行き先を瞬時に判別。ラインに載せられた荷物が、小刻みに位置を変えて仕分けされる。管理ルームを除けばフロアに人の姿はまったく見られない。
現在、クロノゲートの責任者を務める早見友男さんは、「人が荷物を流し、仕分ける従来の方法では1ラインにつき1日3000個が限界。クロノゲートはそんな従来のベースのあり方を根本的に変えた」と話す。
例えばこれまでのベースでは、1ラインに必要な作業員は30人ほど。特に仕分け作業については、荷物が流れてくるシューターに3~4人を配置する必要があった。よって早見さんが責任者を務めていた有明ベースでも、10年以上前から人手不足に悩まされてきたという。とりわけ繁忙期の年末年始には、都内のみならず、神奈川県や千葉県まで募集範囲を広げ対応した。
(左)ヤマト運輸のトラック。(右)羽田クロノゲートの「クロスベルトソーター」。ベルトは「セル」と呼ばれる区切りにわかれており、セルごとに横へ動くため、荷物に与える衝撃は少ない。(写真=AFLO)