専業主婦世帯に対する優遇制度は廃止・縮小傾向にある。だが、賢いパート主婦はすでに老後も視野に入れた防衛策を講じているという――。

働き方をどうするか? さまよえるパート主婦

現在、2017年度税制改正に向けた議論が本格化している。

毎年、浮かんでは消える「配偶者控除」廃止についても、来年こそ本当に実現するかと思いきや、さまざまな“大人の事情”からか廃止論が早くも頓挫。それどころか、年収103万円の適用要件を150万円に引き上げるという拡大案も浮上していた。

11月末の新聞報道によると、政府・与党は、控除を満額受けられる配偶者のパート収入の上限を103万円から150万円に引き上げる、といった方針を17年度税制改正大綱に盛り込み、17年初の通常国会に法律改正案を提出。18年1月から実施する方向で調整している。

となると、今後どのように働いたら良いのか悩みそうなのがパート主婦たちだろう。

すでに今秋に入って、パート主婦が頭を悩ませる改正のひとつが実施されている。「社会保険の加入対象者の拡大」だ。

今年10月から、一定の条件(従業員501人以上の企業で働く人が対象、1週間の所定労働時間が20時間以上など)を満たす場合、パートで働く労働者も厚生年金や健康保険への加入が義務付けられることになった。厚生年金や健康保険への加入義務は、それまでは130万円以上だったが、それが「106万円以上」となった。

このいわゆる「106万円の壁」については、2016.3.3付けのプレジデント・マネーNEWS「なぜ、パートで働く妻は時給UPを拒むのか?」(http://president.jp/articles/-/17407)でも書いたので、詳しくはそちらを参照いただきたい。

この改正が導入される前後から、マネーサイトなどでは、この新しい106万円の壁についての解説や、「結局いくらで働くのがオトクなの?」という素朴なギモンに対するコラム記事が急増。それだけ関心が高いテーマなのだろう。

筆者のところへも、パート主婦の税金や社会保険料に関するご質問が多く寄せられた。いろいろとご相談を受けていると、やはりハードルが高いのは、その「106万円の壁」ではなく「103万円の壁」なのではないかと強く感じている。つまり、「夫の扶養の範囲で働きたい」派だ。