依然多い「夫の扶養の範囲で働きたい」派への逆風

まず、ちょっと整理してみよう。

パート主婦が、年収103万円以下で働く場合のポイントは3つ。

(1)妻は、所得税や社会保険料を支払わなくても良い。なお、妻の収入が130万円を超えたら、社会保険料を支払わなくてはならない(10月以降、一定の条件を満たす場合は106万円を超えると支払いが発生)。
(2)夫は、配偶者控除が適用され、夫の税金(所得税・住民税)が安くなるため手取りが増える。
(3)夫は、配偶者手当(夫が勤務する会社から支給される家族手当など)がつき、夫の手取りが増える。

とくに、(3)の影響は大きいようだ。ある調査によると、配偶者手当制度を設けている企業は7割で、平均支給額は月額1万6300円。年間にすると20万円近くにもなる。もっと多く支給されている会社もあるわけだから、これがなくなるとたしかに家計にとって大打撃だろう。

ただし、配偶者手当を廃止する会社は増加傾向にある。

昨年は、トヨタ自動車とホンダが相次いで廃止を発表した。ホンダは、月1万6000円の配偶者手当をなくし、扶養対象となる場合、子どもへの手当を2万円に引き上げた(旧制度は4800円)。一方、トヨタは今年1月から、月1万9500円の配偶者手当がなくなっている。ホンダと同じく、1人あたり2万円の子ども手当に変更された。

このニュースを聞いた途端、バイト探しを始めたトヨタやホンダ社員の妻も少なくないというから、やはり一定の歯止めにはなっていたのだろう。

とはいえ、オトクかどうかだけで主婦が働き方を決めているわけではない。

主婦がパートやアルバイトとして働くのは、「生活と仕事の両立を図りたい」あるいは「自分の都合の良い時間や曜日に働きたい」という理由からだ。

たとえば、子どもがまだ小さく、保育園などにも預けられない。夫の仕事が忙しくて、家事や育児などの協力が期待できないなどの場合、配偶者手当などが支給される夫の扶養の範囲内で働く、というのも選択肢のひとつだと思う。