名目額は増えたが実質的には目減り

これまで政府は、受給開始年齢の引き上げなど「今後もらう世代」の受給額を減らしてきた。だが、ついに「すでにもらっている世代」の年金減額にも踏み切った。これが2015年にはじめて適用された「マクロ経済スライド」という仕組みの意味だ。

社会保険労務士で「年金博士」とも呼ばれる北村庄吾氏は「これは悪魔の仕組みです」と話す。

「年金の支給額は、物価や賃金の上下の動きと連動する『物価スライド』によって改定されてきました。物価が2.0%上昇すれば、年金額も2.0%伸びる。しかし2015年から年金を受け取るすべての人を対象に、『マクロ経済スライド』が発動されました。平均寿命の延びや現役世代の減少に合わせて、一定の調整率を自動的に差し引き、物価や賃金の上昇率に対して年金額の伸びは抑えられます」