「財産分与」ではすべてが2等分

日本の離婚件数は婚姻件数の「3組に1組」にあたる。厚生労働省の推計によれば、14年の婚姻件数は約65万組。これに対し 離婚件数は約22万組。「離婚率が33%」というわけではないが、他人事ではない。

さらに増えつつあるのが、結婚期間が20年以上の「熟年離婚」である。13年の熟年離婚の件数は3万8032組。40年前の1975年には離婚全体の5.8%に過ぎなかったが、その割合は17.6%にまで上昇している(図1)。

熟年離婚で問題になるのが「カネ」をめぐるトラブルだ。最高裁判所の統計によると、結婚期間25年以上の夫婦では41.3%が600万円以上を離婚相手に支払っている。さらに8%の夫婦は支払額が2000万円を超えている(図2)。統計の対象は裁判に至った深刻なケースだが、協議離婚でも支払いの義務はある。

離婚時の支払いの中身は3つに分類することができる(図3)。ひとつは「慰謝料」だ。離婚の原因をつくった「有責配偶者」に対して、他方の配偶者が請求するもので、浮気などの不貞行為、暴力やセックスレスなども慰謝料の根拠になる。裁判所が認める金額としては、50万~300万円が相場だといわれている。

2つ目は「養育費」。夫婦の間に子供がいる場合には、親権をもつ相手にもう一方が支払う。原則として子供が成人するまで支払い義務があり、金額は親の収入などによって異なる。裁判では妻が親権をもち、夫が養育費を支払うケースが多い。子供1人につき月額5万円程度が目安とされる。

そして3つ目が「財産分与」。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は「離婚の際には、最も大きな要素になる」と話す。

「離婚の原因がどちらにあろうとも、婚姻期間中に夫婦で築いた財産は『共有財産』として2等分されます。これはそれぞれの収入や就業状態とは無関係。たとえば持ち家があって、妻が家を出て行き、夫がその家に住み続ける場合、夫は妻に現在の住宅価格の半分を支払う必要があります。どちらが住宅ローンを支払っているかなどは関係ありません。大きな出費を伴いますから、売却せざるをえないケースも少なくないようです」