結婚期間の年金も2分の1に分割

さらに年金も「財産分与」の対象になる。2007年から始まった「合意分割制度」では、夫婦の合意または裁判手続きが必要だったが、08年からの「3号分割制度」では専業主婦などの「3号被保険者」を対象に、婚姻期間中の扶養者の厚生年金について、半分まで強制的に分割できるようになった(図4)。

「3号分割制度では、08年4月以降の夫の加入期間について、当事者間の合意なしに分割できるようになりました。離婚をしてから2年以内に請求する必要はありますが、これまで離婚後に年金額が大きく目減りしていた専業主婦にとって大きなメリットがあります」(山崎氏)

こうした仕組みは、結果として「熟年離婚」を後押しする効果もありそうだ。妻に離婚を突きつけられてしまったら、どうすればいいのか。山崎氏は「離婚はお互いに経済的なダメージを負うものだと、きちんと説明してはどうでしょうか」と話す。

「たしかに妻は『年金分割』を受けられますが、基礎年金である国民年金は分割されません。また結婚前の年金受給権は夫のものですから、妻の受け取れる受給額は2分の1以下です。

離婚すれば、『遺族年金』の受給資格もなくなってしまいます。これは簡単にいえば夫が先に亡くなった場合、夫の厚生年金の4分の3が、妻に『遺族厚生年金』として支給される制度です。女性は男性よりも平均寿命が長いわけですから、老後の暮らしを考えたときに遺族年金の存在は大きいはずです」

さらに夫の退職前に離婚すると、「退職金」が財産分与の対象外になる恐れがある。退職が間近で確実な場合には認められやすいが、支払いが先になる場合ではハードルが高い。

「離婚で持ち家を失い、家賃負担を強いられれば、間違いなく老後の生活は苦しくなる。夫婦の将来を考えたとき、経済的には離婚は絶対に避けたい。切り出される前に、関係改善に努めましょう」(山崎氏)

ファイナンシャルプランナー 山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)

フィナンシャル・ウィズダム代表。投資教育家。1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。近著は『お金が「貯まる人」と「なくなる人」の習慣』。