※本稿は、桶井道『普通の人のための投資 いちばん手軽で怖くない「ゆとり投資」入門』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
「価値のランクづけ」で10年後の人生が変わる
投資について話をすると、「投資はお金を持ってからやるものだ」という意見をいただくことがあります。「まとまったお金がなければ、大したリターンは得られない」「若いころは節約なんかせず、いろんな経験をしたほうがいい」という理由からです。
たしかに、一理ある意見だと思います。投資は元手が大きければ大きいほどリターンが大きくなりますし、人生経験を積むことの重要性も重々承知しています。
ただ、私は、貯金がない若者でも投資をすべきだと考えています。投資が人生の選択肢を広げてくれることはすでに説明したとおりですし、投資は早く始め、そして長く続けることで大きなリターンをもたらすポテンシャルが高いからです。
そもそも、お金を使って経験を積みながらでも、投資はできます。投資にお金を回したからといって、人生経験が薄くなるなんていうのは、あまりにも極端な話です。
さて、あなたは、先週どのようなことにお金を使ったか覚えていますか。ランチ、同僚と飲み会、コンビニで買った飲み物……たくさんあると思います。そして、それらが「本当に必要だったか」を考えてみてください。
ランチは身体に悪いものにお金をかけていたかもしれないし、食後にスターバックスでお茶することが癖になっていたかもしれないし、飲み会は上司の愚痴を言うだけだったかもしれないし、マイボトルを持ち歩けばコンビニで水を買う必要はなかったかもしれません。
実は、本当はお金をかけなくてもよかったはずのところに、ムダにお金を使っているシーンは山ほどあるのです。
切り詰めるべきは、豊かな経験を積むために必要なお金ではなく、理由なく無駄遣いしているお金です。「旅行をするな」とも「友人と飲みに行くな」とも言っていません。実は使う必要がないけれど、なんとなく使ってしまっている、使途不明金ならぬ“目的不明金”をなくそうという話です。
これから紹介するのは、私が実践していた節約術です。「貧乏くさい」と思われるかもしれませんが、それはいまここだけに焦点を合わせるからです。そうではなく、やがて選択肢のある豊かな人生を送れるようになるための手段だと割り切ってください。
お金に不安を感じない人生のために、「人生の打席」に立つために、「労働+節約+貯金+投資」の車輪を回し続けましょう。
なお、私自身は、いまは介護にリソースが必要になっていて、お金で解決するシーンが多く、かつ資産がある程度あって節約が及ぼすプラスの影響が減ったので、ぜんぶがぜんぶ節約はしなくなりました。資産が1億5000万円を超えたあたりから、そう変わりました。