上から目線の丸川氏が窮地に立たされた

小池百合子東京都知事による2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場見直しをめぐり、丸川珠代五輪担当相の「カメレオン」ぶりが疑問視されている。丸川氏は、都知事選で小池氏を「スタンドプレーはできるけどチームプレーはできない」などと批判していたが、小池氏が圧勝すると掌を返し、恭順の意を示して国民を驚かせた。だが、東京都の都政改革本部が会場変更を提案すると今度は小池氏と距離を置く始末。五輪組織委員会の森喜朗会長に近いことで知られる丸川氏だが、これには自民党内からも「あまりに芯がない」(党中堅)との声が漏れている。

東京五輪推進本部事務局の職員に訓示する丸川五輪担当相。(時事通信フォト=写真)

小池氏と丸川氏はこれまで「師弟関係」ともいうべき関係にあった。小池氏は、丸川氏が初当選した参院選から応援し、「やがては丸川氏を女性宰相候補の一人に」(小池氏に近い自民党議員)と育成するつもりだった。だが、丸川氏は小池氏の天敵である森会長と両天秤にかけ、当選後は森氏のほうに傾いていった。ある自民党ベテラン議員は「丸川氏は森氏の『ポチ』にすぎないんだよ」と酷評する。

都知事選では小池批判の急先鋒でありながら、その後は一転して持ち上げる姿勢を見せた丸川氏。その胸の内を最近、丸川氏と会った旧知の知人が語る。「丸川大臣は圧倒的民意を得た小池氏とは闘いたくない。しかし、小池氏を嫌う森氏の機嫌を損ねたら今後の出世に影響が出てしまう。その点をすごく悩んでいる」。先輩にあたる自民党議員も「丸川氏は『森氏と小池氏双方の地雷を踏まないようにするには、どうしたらいいか教えてくださいよ』と泣きついていた」と語る。