米国年収678万円、日本は500万円に届かず
米国勢調査局が9月中旬に発表した2015年の収入・貧困・健康保険に関する年次調査報告書の内容が興味深い。今年3月に首相官邸が開いた「国際金融経済分析会合」のために来日したポール・クルーグマン教授だが、当日の会合の議事録を半ばリークのような形で自身のブログで公開して話題になったのは記憶に新しいところだろう。
今回、待ちに待った朗報を「オバマ政権のトリクルアップ政策(http://www.nytimes.com/2016/09/16/opinion/obamas-trickle-up-economics.html?smid=fb-share&_r=1)」として早速、自身の米ニューヨークタイムズ紙のコラム(9月16日付)で取り上げている。報告書のハイライトでは、家計の所得増、貧困率の低下、健康保険の加入率の増加と3点が出揃った。米国社会をより公平にし、一般家庭の生活のクオリティを改善しようと政府が望むならそうできる、そうした重要な示唆を与える内容だと訴えている。
2015年の米家計所得の中央値(平均値ではなく、集団の真ん中の値を示す)が5万6516ドル、2014年の5万3718ドルからは5.2%増加と伸び率は統計開始の1968年以来最大となった。5万6516ドルは昨年末1ドル120円で換算すれば678万円、現在の105円で換算すれば593万円となる。
この中央値5万6516ドルは、サブプライム危機・リーマンショック(2008年9月)の直前2007年の5万7423ドルには1.6%及ばず、過去最高であった1999年の5万7909ドルには2.4%及ばなかったものの、過去最高水準まで回復してきたといえよう。
ちなみに我が国の厚生労働省が発表した2015(平成27)年国民生活基礎調査の概況(2014年1月1日から12月31日までの1年間の所得)によれば、中央値は427万円となっている(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa15/dl/03.pdf)。厚生労働省のサイト上で確認できる範囲での中央値の最高は1996(平成8)年調査の550万円であり、それ以後低下傾向を続け、2002(平成14)年以降は500万円台を回復できずにいる。