社長が誰よりも汗を流す

社員をやる気にさせるには、社員同士の信頼関係も重要です。そのために重要なのは、従業員の間での給料の配分をどのようにするかということです。わが社の場合、ボーナスは成果を反映させますが、月給は年功序列が基本です。あるとき、「先輩よりも一生懸命頑張っているのに給料が少ない」と不満げな若手社員がいました。私は全員を集めて「先輩は、土を耕し、木を植えて、実がなるようにしてくれた。若い者が実を作れるのはそのお蔭なのだから、先輩が実を多くとるのは当たり前だろう」と諭したら、それ以降文句を言わなくなり、社員同士の信頼関係も深まったと感じています。

最後に、忘れてならないのは、社長が会社で誰よりも汗を流すことです。社員は上の人間の背中を実によく見ています。社長が社員よりも早く出社して遅く帰るような一番苦労して働く人でないと、社員は決してついてこない。いい目を見るのは社長だけと思っている社員の尻をいくら叩いたところで、やる気も信頼関係も引き出すことは不可能です。

▼社長が取引先・社員から信頼されるには?

×通常の注文を優先する――今手一杯でムリです……
 ↓
大至急の注文を断らない――すぐにやります!
×どうすれば社員をうまく使って利益を出すか考える――こいつは給料分働いているかな?
 ↓
まず社員を好きになる――こいつは気持ちよく働いてくれているかな?
×給料は能力主義――頑張っている若手の給料が少ないのは不公平だ
 ↓
給料は年功序列――木に実がなるまで育てたのは先輩だ
エーワン精密創業者 梅原勝彦
1939年、東京都生まれ。小学校卒業後から働きはじめ、70年にエーワン精密を設立。創業以来の売上高経常利益率が平均で38%という驚異的な高収益企業をつくり上げる。現在、同社相談役。著書に『「速さ」で稼ぐリーダー47のコツ』(日経BP社)などがある。
(福田俊之=構成 坂本道浩=撮影)
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