インターンシップで学生の何をチェックするか

一方、5日間のインターンシップを実施しているのはネット広告会社だ。

総合職と技術職の2つのコースに分かれ、技術職はクライアントからの疑問に対するリポートの作成や企画提案のプレゼン資料を作成し、最終日に発表する。

事務職は与えた経営課題をどう解決するのかについてリポートを作成し、発表する。期間中は学生2人に先輩社員のメンター1人が張り付き、学生の世話と日々の仕事ぶりを観察する。もちろん人事担当者も定期的に観察している。同社の担当者はこう語る。

「リポートの内容だけではなく、コミュニケーション力などのいくつかの指標に照らして評価している。そのため社員との会話や仕事に対する態度も細かく観察している。とくにエンジニア系はおとなしい人が多く、優秀な人でも入社したとたんにメンタル不調を起こす人もいるので、ストレス耐性があるのかも見ている。最終的に合格点に達した学生は、実際の選考試験の1次試験をパスし、2次試験に進む権利を与えられる。そのまま3次試験をパスして内々定を得た学生も多い」

上で紹介した企業はインターンシップと選考試験を兼ねている。経団連の加盟企業ではないので採用活動の解禁時期などに拘束されることもない。結果的にインターンシップが優秀な学生を確保するツールになっている。

だが、この採用直結型のインターンシップが大企業にも解禁されるかもしれない。政府は2016年6月に規制改革実施計画でインターンシップと採用の関係の見直しを求める検討を関係各省に要請した。7月には、インターンシップで得た学生情報を採用に使用することを含めて関係各省の調査研究協力者会議が始まっている。

年度内に新たに「インターンシップガイド」を作成する予定であるが、もし採用直結のインターンシップが解禁されるようになれば、大学3年生の夏のインターンシップから事実上の採用活動が始まることになる。

大企業と中堅・中小企業を巻き込んだ採用活動の長期化が展開されることになるだろう。

【関連記事】
大混乱必至「就活の仕組みが根本から変わる」
「お祈りメール」で内定辞退 学生の鬱憤
「人事部座談会」採用面接のウラ側、教えます
コロコロ変更「就活ルール」でいちばんトクするのは誰か?
人事がこっそり教える「就活で失敗しない5カ条」大公開!