質問されたら、イエスかノーか。そして、5W1Hを明確にする。そんな「中1英語」の基礎通りの受け答えが、上司の好む部下の話し方と言えるのだ。

一方、上司や顧客のなかには1時間でも2時間でも話し続ける人もいる。いくら聞くことがトークの基本だといっても、ここは対策が必要だろう。

「相手の感情を逆撫でせずに戦略的に話の腰を折るにはコツがあります。まず、1人で話させないこと。ただ聞くだけではいけません。オウム返しや言い換えで『なるほど、○○なんですね』と言って、割り込みます。それから、相手の話を整理して締めの一言を添える方法もあります。これは『△△が□□ということなんですね。さて(ちなみに)、その件なんですが……』と話を平行移動させてこちら側に引き寄せるやりかたです」(河野氏)

長話だけでなく、ほかにもひと癖もふた癖もある上司とお近づきになるためのトーク術とは何か?

「対顧客にも言えることですが、意識的に相手と言葉を揃えること。つまり、相手の“方言”を真似ることです。その人の口癖や、その会社で流通する独特な社内用語、業界用語を自分のものにするだけでコミュニケーションは飛躍的に向上し、一体感・連帯感が高まります」(河野氏)

河野英太郎
デロイト トーマツコンサルティング シニアマネジャー。
1973年生まれ。東京大学では水泳部主将として活躍。大手広告代理店などを経て現職。著書に『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』。
 
土岐大介
前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント代表取締役社長。
1961年生まれ。日本鋼管、日興証券、ゴールドマン・サックス証券および上記を経て、現在は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授、東北大学特任教授。
 
(堀隆弘、平地勲=撮影)
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