組織が活性化するかどうかはリーダーの資質や姿勢にかかっている。
今回の不況は外部要因が大きいとはいえ、販売急減を座視するわけにはいかないので企業トップは「もっと売れ」と現場に圧力をかける。すると悪いリーダーは、不安に駆られるまま部下に責任を押し付けようとする。「売れないのは部下たちに危機意識が足りないから」と決めつけるのだ。このロジックで部下を責め立てるため、組織の一体感は損なわれ成績も一段と悪化する。
一方、いいリーダーは「チーム内の不安感を取り除いたうえで、ゼロベースから仕事のやり方を見直したり、新しい販売ルートを見出したりすることにエネルギーを費やします。好況時のように目先の売り上げに振り回されず、本質的な考察ができると考えるからです。こちらはチームの一体感が強まり、景気回復期には猛ダッシュを見せるでしょう」。
大事なのはもちろん新しいやり方を見つけて方向性を指し示すことだが、それ以前に「チーム内の不安感を取り除く」ことが、いいリーダーになるか悪いリーダーに落ちるかの分岐点になっているといえるだろう。本寺氏が締めくくる。
「みんなが不安に苛まれるなか、優秀なリーダーは決まってこんな言葉を漏らします。『こういう局面だから、僕が下を向いちゃ駄目なんです』。彼らはあえて、職場を笑いで満たしているといいます。SQの研究過程ではリーダーが口にする冗談の数と、その部署の業績とは相関関係にあることが判明しています。周囲が沈んでいるときこそ、あえて冗談を口にしたり、笑顔を見せたりする。ウケを狙う必要はありません。明るく前向きな空気をつくればいいのです」