弱者が泣き寝入りする場合が多い
今回のスケルトン選手の代理人を務める辻口信良弁護士は会見で次のような主旨の訴えをした。
<スポーツは「する」「見る」「支える」という3つの要素があって、それがトータルでスポーツ文化だと理解している。その中で一番大事なのは「する人」。「アスリートファースト」だ。今回、相手方になる連盟は「支える」側だ。そこにはガバナンス、コンプライアンスが求められる。支える企業は選手たちが言いたい事をきちんと言える環境づくりをすることが非常に大事なことだ。それが選手の「自立」ということにつながり、スポーツを真に文化にすることにもなる。
以前、全柔連の事件を担当したが、この時も、選手はスポンサーや所属企業に対しての配慮、会社への気持ちを忖度する中で、自分の名前を出しにくい、出したくないという切実な悩みを聞いてきた。自分の意見を言えないということは残念なことだと思う>
最近は内部告発者を守る制度も整備されてきたが、まだまだ弱者が泣き寝入りする場合が少なくないだろう。平等な権利を与えられ、自分の意見を余すことなく言えて、社会に役立てられる。快適な生活を送る、楽しい時間を過ごすという、そんな普通の日々でありたい。
今回、中山選手たちによる提訴で評価できること。それは、勇気を振り絞って理不尽さに声を上げたということではないだろうか。組織の中で、理不尽不条理な状況に直面したとき、それに正面から立ち向かおうとすることはそれほど簡単なことではないのだ。
なお、今回日本スポーツ仲裁機構に申し立てをされた同連盟は選手への書面での回答で「選考は厳正に行われている」としている。