唯一の日本代表大学生がほろ苦い先発デビュー

やはり才能は輝きを放つ。ラグビーの新生日本代表のホープ、松田力也をみて、つくづくそう思うのである。過日の日本×スコットランド戦で、けがの五郎丸歩に代わり、フルバック(FB)のポジションでプレーした。未熟さをのぞかせながらも、「非凡さ」は十分見てとれた。ワクワクするのだ。 

もっとも、松田にとっては手厳しい「レッスン」となっただろう。スコットランド第1戦(6月18日・豊田スタジアム)では途中出場し、人生初のシンビン(10分間の一時退場)をもらった。インターセプト狙いでボールをたたき落としたら、故意のノックオンでペナルティーをとられた。悔恨が残る。

スコットランド第2戦(6月25日・味の素スタジアム)では、松田はFBで代表初先発した。代表メンバーでは唯一の大学生で、まだ22歳。パワフル、かつ鋭利なランでスタンドのファンを驚かせながらも、キック処理では再三、もたついた。とくにラスト4分のキック処理では、ファンブルし、相手との間合いが詰まりながらも、強引にラン突破を試みて相手につかまった。「ノット・リリース・ザ・ボール」の反則を取られた。

相手にペナルティー・ゴール(PG)を蹴り込まれて、16-21とされた。2戦連続の惜敗となった。セオリーではキックを蹴り返して、しっかりエリアを稼ぐところだった。が、松田は「自分の中ではランという選択肢しかなかった」と振り返った。若いというか、未熟というか、もっと幅広い選択肢をもたなければいけない。

松田は小声で反省した。

「自分で納得するプレーは何ひとつできませんでした。大舞台でのプレッシャーというか、重圧というものを、まだまだ楽しみに変えることができませんでした。(キック処理では)しっかりキックでエリアをとったり、もうちょっと工夫したりすることが必要だったのかなとは思います」