天正元年(1573)4月12日、武田信玄が死んだ。

――「巨星堕つ」。

死の床についた信玄は、一族と重臣たちを枕元に呼んで長櫃を開けさせた。そこには800枚あまりの紙が入っており、すべてに信玄の花押(かおう)が書かれていた。