権力も地位もない人間が、とてつもない事を成し遂げてしまう――そんなさまを、『列子』は次のような寓話で描いてみせた。

中国の北部に、裾野の広さが7百里四方、高さは1万仭もある2つの大山があった。

愚公(ぐこう:おろかなじいさん)という90歳にもなろうとする老人が、この2つの大山の麓に住んでいたが、反対側に抜けるのに、いつも大変な苦労をしていた。そこである日、家族を集めてこう相談した。