FAAに240万ページの書類を提出
「ホンダが単独で、しかも新規参入で航空機の型式認定をとったというのは、日本の企業にとっても非常に大きなマイルストーンを達成したのではないかと思います」
昨年12月、ホンダの航空機事業子会社であるホンダ・エアクラフト・カンパニー(HACI)がつくった「ホンダジェット」が、米国連邦航空局(FAA)から型式認証を取得。そのことについて、HACIの藤野道格社長は嬉しそうにこう語った。この1年ほどあまりいいニュースのなかったホンダにとって、久しぶりの明るい話題といっていいだろう。
しかし、この型式認証をとるのは大変な作業だった。FAAへの提出書類は240万ページにも及び、おまけにFAAの人がいくつも仕事を抱えているなかでホンダジェットの認定を優先的にしてもらえるように働きかける必要もあった。もちろんFAAの関係者らのスケジュールも調整しなければならなかった。その結果、当初の予定よりも認定取得まで大幅に時間がかかってしまったそうだ。
「今まで4機設計してきた経験がありますが、FAAの認定取得はそれを遙かに超えるもの。全く自分が経験したことのない領域に踏み入れた感じでした」と藤野社長は振り返り、取得の1カ月前からほとんど眠れない日々が続いたという。
ホンダジェットの特徴は、エンジンが主力の上に設置され、胴体に直接エンジンを据え付けるこれまでの機体になかったスタイル。自然層琉翼型、一体成型複合材胴体といった独自技術を採用し、クラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能および室内サイズを実現した小型ビジネスジェット機だ。乗り心地もこれまでの小型ジェットと比べものにならないとのことで、航空業界関係者の評価も高い。