一生献身的な日本、全力で尽くしても心変わりの早い米

日本人はアメリカ人よりも愛社精神、会社に対する忠誠心が強いとよく言われますが、愛社精神に対する考え方が異なります。アメリカでは、社員は自分が会社にどんな貢献ができるか、どういう付加価値を提供できるかが重要で、会社側はその社員を最大限に活用するために最高の環境を与えます。いわゆるギブ&テイクの関係が、明確な利益によって成り立っているのです。ジャネット・ジャクソンの歌に“What have you done for me lately?(最近あなたは私に何をしてくれた?)”という曲がありますが、まさにアメリカの会社の気持ちを表しています。

もちろんお互いの関係が長く続くに越したことはありませんが、ビジネスとその環境は常に変化するので、利害関係が成り立たなくなったり、求めるものが変わったりすれば、社員も変わるのは当たり前だと考えます。ですから、全力で尽くした会社であっても、その関係性が変われば2、3年で会社を離れることは自然。決して長期的に働くこと=忠誠心ではありません。

日本では同じ会社で長く働き続けることが美徳とされてきましたが、まさに今、変わりつつあるのではないでしょうか。日本企業は実質よりも、フェイスタイム(所定労働時間の前後に会社で自分の顔を見せている時間のこと)やプレゼンティーイズム(効率的に働くことができる時間が過ぎても職場に残っている傾向)を重視しますが、それは無駄だと思います。それが生産性を上げることにはつながっていないことに人々は気づきつつあります。

日本人には優れた能力がある人が多いのに、それが有効に生かされていないのは非常に残念です。