他人のアドバイスに耳を傾ければスコアはアップする

川淵さんはいまでも年間50回はコースに出ている。相手は友人知人のときがほとんどだが、サッカー協会に関係しているスポンサー企業や首都大の人間もいる(考えようによっては、彼がやっているゴルフは企業の営業幹部がやるようなビジネスのためのゴルフである)。そして、一緒にやった人間は川淵さんの腕前に驚嘆し、「何かアドバイスしてください」と言ってくる。それに対して、川淵さんはこう答える。

「私はプロのレッスンコーチではありません。だから、ああやれ、こうやれと上から目線で教えることはできない。それに、私のゴルフは我流でした。しかも下手でした。その後、心を開いて、いろいろな人に教えを請うようになってから、スコアは自然とよくなっていった。私がみなさんに言えるのは、他人のアドバイスに耳を傾けるとスコアがアップすること。そして、一緒に回る仲間のスコアがよくなると、自分もよくなる。技術論では、私がさまざまな人たちから教わった『このやり方はいいな』と感じたことを伝えます」

『川淵キャプテンにゴルフを習う』(野地秩嘉著・プレジデント社)

本書にあるゴルフ技術論は川淵さんが日ごろ、一緒に回るアマチュアゴルファーに助言していることと同じである。

まずはドライバーのスイングだ。

わたしが川淵さんから言われたことは「なめらかに大きく振る。リズムを大切にする。野地さん、いまのままでいいんじゃない」である。

そして、わたし以外の人間にも同じアドバイスをしていた。

「岡さん(岡康道 TUGBOAT代表)、それでいいよ。言うことないよ。あなた、ゆっくり振ってるから飛ぶんだね」

川淵さんの指導法の特徴はホメ殺しと言える。