リーマンショックと公立校躍進の秘密

今年の入試で、早稲田大は志願者10万人越えを果たした。相変わらずの人気ぶりだ。ただ、志願者数は昨年同様、近畿大、明治大に次ぐ3位だった。

人気が続く早稲田大の合格者高校別人数を見ていこう。トップは開成の240人だった。開成は他に、東京大、慶應義塾大でもトップで、首都圏人気3大学のトップとなった。2位は湘南の195人、3位は西の192人、4位は渋谷教育学園幕張の189人、5位は女子学院と豊島岡女子学園の181人だった。以下、聖光学院、東京学芸大附、麻布、本郷と続いた。東大合格者が多い学校が上位に並んでいる。併願者が多いこともあるのだろう。

ランキングを見ると、中高一貫校が強いが、今年は公立校の躍進が目立った。2位湘南は昨年に比べて44人増、5年前に比べても41人増だ。3位の西も昨年に比べて49人増、5年前と比べて31人増で躍進している。公立高が強いのは早稲田大の特徴で、11位に日比谷、12位に浦和、13位に中高一貫校に変わった千葉・県立が入っている。いずれも公立トップ校ばかりだ。塾の講師がこう話す。

「今年卒業した高校生の中学校入学は2010年になります。08年秋にリーマンショックが起き不況になり、経済的な問題もあって10年の私立の中高一貫校進学を諦めて、公立中に進学した生徒も多かったと見られます。その結果、優秀な生徒が公立高に進学したことで、早稲田大の実績が伸びたのではないでしょうか」

さらに、首都圏の公立高の進路指導教諭はこんな見方をする。

「早稲田大の文系の入試科目はオーソドックスな英語、国語、選択科目の3教科型です。慶應だと論文対策が必要になり、そこまで手が回らず、現役で進学するなら、どうしても早稲田を選びがちになります。それと4年間、キャンパスが同じというのも人気の理由です」