試験日前倒しの影響はどう出たか
慶應義塾大は今年、一般入試の試験日を前倒しした。昨年は2月12日から入試が始まったが、今年は10日からに早めた。薬、看護医療1次、理工、総合政策、環境情報、医1次の6学部が昨年より2日早くなり、経済と商は4日早くなった。文と法の試験日は昨年と同じだった。早稲田大の入試日程は変わらなかったため、早慶の併願がしやすくなったといえよう。
例えば慶應の理工は昨年は2月14日で、早稲田の基幹理工、創造理工、先進理工の3学部は16日で中1日しかあいていなかった。それが今年は慶應が12日になったため中3日に広がったのだ。さらに、試験日前倒しによって、25日から始まる国公立大の前期日程との間に余裕ができることになり、難関国立大とよりいっそう併願がしやすくなった。
その入試日程変更もあって、今年の一般入試志願者は商、総合政策で大きく増え、昨年比954人増、4万3352人だった。慶應の公表データによると、実志願者は2万9935人で、1人当たりの学内併願学部数は1.45だった。しかも1学部しか受けない受験生が2万0431人で、実志願者の7割近くに上っている。私立大というと、1人で同じ大学のいくつもの学部に合格するイメージがあるが、今やそのような受け方をしていないことがお分かりいただけよう。
予備校の入試担当者は「最近の受験生はかつて多かった記念受験をせず、何が何でも慶應ということからたくさんの学部を受けることもあまりしません。受験料がかさむことを敬遠するというのもありますが、自分の志望する学部で難易度に差をつけ、堅実な併願をする傾向が強まっているのです」という。
有名大学の中で慶應義塾大は、オーソドックスな入試を実施している大学として知られる。センター利用入試は行わず、医と経済では推薦やAO入試も実施しておらず、付属校生や帰国生などでない限り、一般入試で合格する以外に入学の方法はない。