国立大と併願しやすい入試科目
その慶應義塾大の高校別合格者ランキングトップは2年連続で開成となり、196人だった。2位が浅野の176人で。1位、2位は昨年と同じ顔ぶれだ。3位は6位から躍進した渋谷教育学園幕張の155人、以下、麻布、聖光学院、日比谷、海城と続いた。8位の豊島岡女子学園は昨年の17位からの躍進だ。今年は豊島岡女子学園がトップ10に入り、昨年はトップ10にゼロだった女子校が入ったことになる。この他でも今年は女子校の躍進が目立った。昨年の25位から12位に躍進した女子学院。同じく昨年の19位から14位に伸びた桜蔭などだ。
ランキング上位では男子校が強いが、女子校の健闘も光る。予備校の入試担当者がこう話す。
「慶應では難関国立大に強い学校が上位に来ているのが特徴です。かつては文系でも数学を必須にしていたほどで今は違いますが、入試科目に国語がなく文系では私大型の受験生が受けにくいことがあります。国語の代わりに論文を課すことで、結果として、これが難関国立大の2次試験対策につながり、試験日の前倒しもあって、ますます国立大と併願しやすくなりました」
また、都心の有名大学では、この10年で1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)からの合格者が増えている。慶應も合格者に占める1都3県の割合が10年前の57.7%から71.4%に上がっている。それでも22位に愛知の東海が入っている。
昨年と比べて伸びている学校では、トップは早稲田で昨年の倍の104人合格だった。早稲田大系属校の早稲田が、慶應でもっとも合格者を増やしている結果となった。この他では女子学院が36人増、浅野が33人増、渋谷教育学園幕張が30人増などだ。現役合格では頌栄女子学院が94.3%(現役合格者÷全合格者×100)の高率だ。開智も88.6%で、早稲田大で現役合格者の割合が高かった2校が慶應でも強かった。
学部別のトップ校を見ると、文は頌栄女子学院、経済・理工・医が開成、法が渋谷教育学園幕張、攻玉社、浅野の3校、商が浅野、総合政策が東京学芸大附、湘南、横浜翠嵐の3校、環境情報が世田谷学園、看護医療が大妻、薬が渋谷教育学園幕張と豊島岡女子学園の2校だった。私立大最難関の医学部のトップ3は開成に続いて、桜蔭、筑波大付駒場、聖光学院、駒場東邦と甲陽学院の順となった。いずれも男女別学の中高一貫校だ。しかも、東大、京大ランキングトップ10の常連校だ。医学部は東京大や京都大の医学部との併願者が多いということなのだろう。