ドイツ政府は絶対にVWを見捨てない

独フォルクスワーゲン(VW)グループの排ガス不正の影響が広がっている。この問題は世界中で報道されているが、とりわけ英米メディアの論調が厳しいようだ。国内での報道では、ドイツ経済の失速懸念のほか、国内自動車産業への追い風を指摘する声も聞かれる。しかし、問題の本質を突き詰めれば、そんな楽観論は考えられないはずだ。

事の発端は、ディーゼル乗用車の排ガス数値において、試験数値と実走行時との間に大きな乖離があることに、欧州委員会が関心を持ったことだった。欧州委員会は非営利団体の「国際清浄交通委員会(ICCT)」に調査を依頼。調査を受託したウエストバージニア大学の研究結果が、VWの不正を暴く契機となった。