>>細谷さんからのアドバイス

「現時点から」ではなく「締切日」から逆算する
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「現時点から」ではなく「締切日」から逆算する

いつも締め切りギリギリまで仕事をしている……私自身がまさにそのタイプなので、これは耳の痛いテーマです。

そうはいっても、自覚があればそれなりに対策は立てられるものです。まず自分が担当している仕事をすべて書きだしてみるところから始めます。仮に5つのプロジェクトに関わっているとしましょう。当然納期はバラバラですから、それも書き入れてみます。次にそれぞれのプロジェクトがどれだけの作業時間を必要とするかを見積もり、逆算して着手する日程を割りだすのです。

すると、同時進行しているかのように思っていた5本の仕事の優先順位がはっきりし、どの仕事に集中すべきかが見えてきます。同時にいまはまだ着手する必要がない仕事も明らかになりますから、余計なプレッシャーから解放されて時間的にも心理的にも余裕が生まれます。

また、完璧を求めるあまり作業時間がどんどんふくらんでいき、気がついたらいつも締め切り直前という人もいるでしょう。このような人には、適切な時期がくるまで手を着けないことをおすすめします。時間に余裕があるとその仕事にかかりっきりになってしまい、ほかの仕事が回らなくなるからです。

「目標設定がうまくできない」の項でも触れましたが、自分の考える100点満点と相手が考える100点満点は違います。完璧を求めるのは悪いことではありませんが、必要以上の作業は貴重な時間のムダ使いといえるでしょう。

時間活用全般にいえることですが、このタイプの人が時間を上手に使うには、「やることを増やす」に尽きます。つまり、完璧主義でいつも締め切りギリギリになってしまうのであれば、プライベートも含めて「やること」をすべて明文化し、それでスケジュールを組むのです。

睡眠時間が足りないのであれば、それは寝る時間を決めていないためについ夜更かしするせいとも考えられます。「睡眠を○時間確保する」と決めてしまえば、そこからの逆算で床につく時間も決まるので、スケジュールが押せ押せになることはないはず。そのようにしてうまく割り切りをつけていくことです。

細谷 功●ザカティー コンサルティングディレクター


1964年生まれ。東京大学工学部卒業。東芝でエンジニアとして働いた後、アーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティングの前身)に入社。専門は業務プロセス改革、組織改革など。著書に『地頭力を鍛える』などがある。
(石田純子=構成 相澤 正=撮影)