アイデアを商品化するには

●わが社の想定が間違っていた場合、戦略を台なしにするものは何か?

どんなアイデアにも正しい部分もあれば、間違っている部分もある。有望なアイデアが往々にして市場にたどり着けないのは、イノベーターがどの部分が間違っているかを見つけて、すばやく調整することができないからだ。商品化にかかる時間を短縮するために、イノベーターは科学的手法を使う。自分のアイデアの背後にある最大の不確実性をはっきり特定し、自分の想定をテストするための実験を厳密に設計、実行する。そして、優れた科学者と同じく、予想外の結果をそれに劣らずに詳しく調べるのである。

●どうすれば、より低コストで効率的に学習できるか?

実験は複雑でコストのかかるものである必要はない。専門家に電話を1本かけるだけで、きわめて重要な運用上の想定を確かめることができる。顧客にアイデアの大まかな実物大模型を見せることで、顧客の関心について事前に理解することができる。単純で資源効率のよい学習方法を見つける努力をすることは、うまく市場に出せるか、その前に資金切れになるかのちがいを生むかもしれないのだ。

「やみくもに何かをしてはいけない。じっとしてろ」。これは緊急時には何もしないことが最善の策になる場合があることを思い出させてくれる言葉である。症状の根本原因がはっきりする前に急いで行動したら、益より害のほうが大きいことがある。イノベーションは確かに積極的に追い求めるべきだが、時間をとって重要な問いを検討することは、活動の焦点を絞り、成功の確率を高めるすばらしい方法になりうるのだ。

(ディプロマット=翻訳 Getty Images=写真)
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