ものが売れない時代だからこそ、知恵とアイデアで大差がつく。
“敏腕マーケッター”村山涼一氏が、明日から実践できるテクニックを解説!

AKB式ソリューション:あらゆるタイプをパッケージ化

ものが売れない時代の売り方としてお勧めしたいのは、単品ではなくソリューションで売ることです。

代表的な成功事例がIBMです。ネットワーク環境を整えたいという顧客の要望に対し、IBMはPCやサーバー、ルーター、ソフト等を総合的にパッケージ化し、顧客の問題を解決するソリューションを提供することで成功したのです。

もっと身近なソリューションの成功事例にAKB48があります。過去のアイドルが単体で売り出されていたのに対し、AKB48は大人数で、その中のどこかにファンの望むアイドルがいる設計になっています。バリバリのアイドルが好きなら渡部麻友、パフォーマンスなら大島優子、ビジュアルを求めるなら篠田麻里子という具合。これがAKB式ソリューションです。

1人のアイドルに対する思い入れだけでは顧客が動かなくなった現在は、仮にメンバーを単体アイドルとして売り出してもいまほどには売れないでしょう。AKB48という括りで顧客が望むありとあらゆるタイプのアイドルをパッケージ化し、「自分の望むアイドルが欲しい」というファンの期待に応えるソリューションを提供したことで、AKB48は爆発的に売れたのです。

割引には「口実」をつけよ:床屋さんの売り上げを伸ばすには

第2市場とはマーケティングの世界でよく使われる手法で、1つの商品で第1市場と第2市場をつくり、両方で顧客を獲得して利益を大きくしていくというやり方です。見方を変えれば割引には「口実」をつけよ、ともいえるでしょう。

第2市場の事例としては映画ビジネスがあります。新作映画を一斉に上映する封切館だけでは儲からないので、さらに旧作を上映する名画座で価格を割安にして見せています。

PCソフトのアカデミックパックも、一般ユーザー向けの第1市場とは別に、学生向けに料金を割引した第2市場をつくることで売り上げを伸ばしている例です。搭乗の数カ月前に予約すると航空券が割引になるかわり、予約した便の変更がきかないという航空会社の「早割」も第2市場の例になります。

第1市場で売り上げが頭打ちになっている場合、いかにして第2市場をつくるかを考えてみるべきです。たとえばカット専門店の台頭で売り上げが頭打ちになった成人男性向けの床屋さんだったら、第2市場として「子ども専用理髪店」を検討してみてはどうでしょう。カット専門店がターゲットとしていない子どもを割安料金で呼び込み、第2市場をつくるのです。