親がすべきはモチベーションマネジメント
忙しいのに、やりたいことがいっぱい出てくる状態を、吉田さんは、「新しいことを始める最大のチャンスで、それは時として人生を変えるほどの力を持つ」と話す。吉田さん自身、医師の仕事と家事、育児をしながら、ハーバード大学院という世界最難関校入学のための受験勉強をやり遂げられたのは、ひとえに、この“エネルギー噴出状態”があったからだという。
「産婦人科医として、子供を産むことはマイナスであるはずがないのに、現場に張り付いていられないだけで、職場での評価は下がる一方。医師として思うように勉強もできず、フラストレーションが溜まっていました。でも、できないことを自分が置かれた環境のせいにせず、とにかくやってみようと思ったのがすべての始まりでした」
いざ、やると決めれば、目標達成の方法はいろいろ出てくるものだ(具体的な時短術は、著書『「時間がない」から、なんでもできる!』に詳しい)。だからこそ、大事なのは時間のやりくりではなく、気持ちのやりくりだという。
子供もそれは同じこと。親は、せっかく膨らんだワクワク感に水を差さないように注意しよう。たとえば、やるべきことをしていないからといって、「勉強しないと、小笠原旅行にいけないよ」などと脅してはいけない。
「わが家では、子供に注意を促すときも、なるべくポジティブな言葉で伝えるよう心掛けています。たとえば『勉強しなさい』という言葉は、『旅行の前に、宿題が終わっていると心置きなく遊べるね』『終わるとスッキリして気分がいいよね』という具合です。心の中ではいつも『勉強しなさい!』という言葉が渦巻いていますが、頭の中で“ポジティブ語翻訳機”を作動させて話しています(笑)」