夏休みに羽を伸ばしきっているわが子へ、「時は金なり」と教えたい。子連れでのハーバード留学経験もあるママドクターが時間管理できる子に育てる方法をレクチャーする。
子供には時間管理する動機がない
仕事に会合、勉強と忙しい大人からすると、うらやましいほど時間があるのが、夏休みの子供たちだ。朝、せわしなく身支度を整える傍らで、明らかに時間感覚が違う子供たちがダラダラと過ごしているのを見るのは、正直、目障りである。
子供だって勉強なり、読書なり、やるべきことはあるだろうと、つい小言をいいたくなる。どうしたらわが子は、時間を有意義に使えるようになるだろう。
「大人がタイムマネジメントを意識するのは、忙しくて時間がないからです。その点、夏休みに学校から解放された子供たちには、大人のように時間を有意義に使おうというモチベーションがありません」と話すのは、医師の吉田穂波さん。
吉田さんは2008年から2年間、子連れでのハーバード大学院留学を敢行した。当時はただでさえ多忙な産科医療の現場で働きながら、2人の子供の世話をし、留学準備も進めた。留学直前に第3子を、大学院修了後に第4子、第5子を出産。現在は1男4女を育てながら、国立保健医療科学院主任研究官として多忙な日々を送っている。まさにスーパーウーマンである。
そんな吉田さんが、子供を変えるために提案するのが、「夏休みに子供がワクワクする予定をたくさん入れること」だ。
「人は自分が好きなことをするためなら、主体的に動くものです。そこで、親が子供の希望を聞いて優先的に夏休みの予定に盛り込んであげます。これが、時間を有効に使おうというモチベーションにつながります」
たとえば、子供がイルカ好きなら、野生のイルカと一緒に泳げる小笠原旅行を計画する。映画好きなら、友達と映画館に行けるよう特別な計らいをする。あるいは友達を家に招くとか、大好きなアニメを見るとか、他愛ないことでいい。そのことを考えるとワクワクする。そんな予定をたくさん考えさせるのだ。
同時に、宿題など「やらなくてはいけないこと」もTODOリストに書き出して意識させる。
あれもしたい。これもしたい。でも、宿題もやらなくてはいけない。このように子供に“時間管理をしなければ”と思わせることがポイントだ。
「皆さんも忙しいときに限って、旅行がしたくなったり、読みたい本が出てきたりしませんか? 忙しいときは、一つひとつに思うように時間をかけられないからこそ、かえっていろんなことをやりたいという気持ちが高まります。こうなって初めて、子供は、時間をやりくりしようと考えるようになります」