ウチの子は「言えば分かる・変われる」。これが間違い

「我が子を立派に育てたい」

これは、我が子を大切に思えばこその親の願い。

しかし、小学校の学級担任として多くの家庭と接していくと、皮肉なことに、この「健全な親の願い」が原因で子育てに苦しむケースにしばしば遭遇します。子育てに真剣な方ほど、深く悩んでいます。

どういうことか? 

父兄の皆さんに聞けば、「子どもが自分の願う方向に育っていかない」と言います。「何度も何度も言ってきかせるんですけど……」と。ここで、父兄の方の考え方の前提となっているのが、ウチの子は「言えば分かる・変われる」という点です。

実は、この前提自体が間違っています。

真実は、「何度言っても、変わらないものは変わらない」という、教える側からするとかなり残念なものです(子どもを旦那さんに置き換えると、分かりやすいですよね)。これは、親子間、夫婦間だけでなく、教師と子どもの関係にも当てはまる、大原則です。

でも、それでも何とかしたいのが親心。親としての願いを持ちつつ、どうやって我が子に接していけばいいのでしょう。そんな共通の悩みを抱える全国の親御さんとその子どものために、私は「ゆったりと子育てを楽しむ」方法を提唱しています。

(1)「言うことをきかせる」という思いを捨てる

子どもは、親の言うことをよくきく状態が望ましいです。しかし、何であれ、世の中そう簡単にはいかないのが常です。「悪銭身につかず」の諺の通り、簡単に手に入るものは、結局身につきません。価値のあることには、時間と手間がかかるものです。だから、親は長期的な視点でゆったり構えることも大切です。

我が子の教育には、気合いが入ります。いろいろ手をかけること自体はいいことです。しかし、間違ってはいけないのは「言うことをきかせよう」という思いです。

この思いは、とりあえず捨てた方がいいようです。では、どうすればいいのか?