ハーバード式「学び方」は日本と真逆
世界中のトップエリートが集まるハーバード大学。2008年から2年間、ハーバード公衆衛生大学院に留学した医師の吉田穂波さんは、そこで推奨される勉強法が日本とはあまりに違うので驚いたという。
「アジア流の1人でコツコツ勉強して、良い点を取るという勉強法はまったく評価されません。このような勉強法は、時間とエネルギー、才能の無駄遣いと言われてしまいます。それよりは仲間と一緒に切磋琢磨し、助け合いながら良い点を取ること。1人でアイデアを温めるより、他人に意見をもらったり、助けを借りたりして、より良いものを作り上げることが評価されます」(吉田さん)
たとえば、課題が20問あったら、1人で全部解くのではなく、4人で5問ずつ分けてやる。そして課題が終わったところで集まって、担当した問題を教えあう。課題の本も複数冊あるなら、手分けして読んで「この本の一番大事なところはここだよ」と近道を示してもらう。日本人の感覚でいうと、「問題を手分けして解いたり、課題の本を自分で読まないなんてズルしているみたい」だが、ハーバードではこれが推奨されるのだ。
「20問を4等分したからといって、知識が4分の1しか身に付かないわけではありません。むしろ人に教えたり、教えられたりすることで理解が深まり、得意分野になっていきます。課題図書も手分けして読んで要点をいち早くつかむことは効率的です。人と協力して成功することは社会に出れば常識なのに、なぜか、このような方法論を日本の学校ではまったく教わりません。本当は“学び方”を学ぶことの方が大切だと思います」(吉田さん)
▼本当の高学歴者は「人と協力して学び、仕事をする」
日本では個人勝負のテストだけで評価されるから、周りはみんな競争相手となる。だから、1人でコソコソ勉強して、がんばっていることを隠したりする。そういえば、「全然勉強しなかった」と言ってテストでいい点を取る友人が、いつの時代もいたものだ。
個人プレーで優秀な成績を収めてきた人がいい大学に入る。だが、そうした高偏差値の学生の多くが就職する国内大手企業で彼らがしばしば「使えない」と揶揄されることがあるのも、このへんに原因があるのかもしれない。「使えない」には学歴コンプレックスによるやっかみも多分に含まれていると思うが、単純に「勉強ができる人=仕事ができる人」ではないことは、多くのビジネスパーソンが実感していることだろう。