都市型マラソンではいいタイムが出ない?
2007年に開催されて大成功をおさめた「東京マラソン」に続けとばかりに、大阪マラソン、神戸マラソン(以上、2011年)、さらに京都マラソン、名古屋ウィメンズマラソン(以上、2012年)と大都市型市民マラソン大会の新設が相次いだマラソン業界。
そのトリをとる形で3月に開催されたのが<横浜マラソン2015>だ。
競争率は3.4倍だったが、珍しく抽選に当たったので、久しぶりにフルマラソンを走ってみた。東京マラソンとまではいかないものの、なかなか楽しい工夫のあるレースだった。
ところがこの横浜マラソン、大会終了後に距離が186.2m不足していることが判明し、記録が公認されないことでも話題になってしまった。京都マラソンの1万2000円を上回る1万5000円という高額なエントリーフィーでも物議をかもしたレースだっただけに、自己ベストを更新したと喜んでいたランナーにとっては憤懣やるかたなし、といったところだろう。
多くの市民ランナーにとって、フルマラソンを走るのは年に1度。しかも、大都市型市民マラソンは抽選に当たらなければ出場さえできないからだ。
▼「いたれりつくせり」大会の罠
大都市型市民マラソンは、普段、車しか走れない車道を自分の足で走りながら都市観光をできるのが最大の魅力。だから、主催者はなによりも参加者に楽しく走ってもらうことに重きを置いている。
例えば、通常のマラソン大会の場合、給水所は12~13か所くらいだが、横浜マラソンは18カ所。しかも給水所では、「ラッキー給食」と銘打った横浜名物である崎陽軒のシウマイ、ありあけのハーバー、ミニ月餅、海賊コロッケ……などが予告なしで登場する楽しいサービスがある。
沿道では港町・横浜らしく、ビッグ・バンドの演奏、ゴスペルの合唱、バーテンダーがシェイカーを振って作るノンアルコールカクテルのサービス、マジックの実演、おまけにフラガールやチアガールなど、あちらこちらでおへそを出したお姉さんたちが踊りながら応援してくれるのだ。
東京マラソンでも問題になった悪名高きランナーの立ちションだが、横浜マラソンでは「絶対にさせないぞ」という、運営側の意気込みを感じさせるように仮設トイレがずらりと立ち並んでいた。
もう、いたれりつくせりなのだ。