男性が心を開けば女心はついてくる

「相手の年齢にかかわらず、声かけで大事なのは具体性です。『承認』も『傾聴』も『尊重』も『感謝』も、相手のことを理解していなければ、できません」と前川氏。だが、何気ない「日々のコミュニケーション」ほど難しいものはない。セクハラ、パワハラを恐れるあまり、仕事の話題に引きこもってしまう男性が多いのも現状だ。

「女性にインタビューをしていて名言だと思ったのは、『配慮はしてほしいけれど、遠慮はやめてほしい』という言葉です。『女子を味方につける』ためには、一歩踏み込んで、人間関係を深めておくことも大切です」(前川氏)

そのためには男性マネジャー側が、プライベートな話題やちょっとした失敗談など、人間性が垣間見える話をして率先的に「自己開示」し、ざっくばらんに話しやすい風土をつくっておくことが肝要だ。

「そこで女性社員がプライベートな話をするようなら、話に乗って『共感』しましょう。彼女が話す気もないのに、『週末は何していたの?』『髪形が変わったけど、何かあったの?』などと声をかけるのは御法度です。セクハラになりかねません」(前川氏)

自己開示の一つの方法として、「男性上司には、子供のように無邪気に夢を語ってほしい」と秋田氏は言う。

「売り上げ目標などの数値化できる目標は日々語っていると思いますが、ただワクワクする夢を語る無邪気さが必要だと思います。子育てをしている女性は、『この子が幸せになるために全力でサポートしてやりたい』と考えています。それが『母性』であり、『女心』。女性は男性に比べて、誰かを応援したいという気持ちが強いもの。男性が夢を語ると、女性はどうしようもなく応援したくなってしまいます。男性マネジャーが無邪気に夢を語ることが、『女子を味方につける』究極の方法だと思います」(秋田氏)

明日からすぐにとは言わないが、少しずつ、できる範囲で女性社員との距離を縮めていっていただきたい。

前川 孝雄(まえかわ・たかお)
FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師
管理職研修や風土改革で企業のダイバーシティ推進を支援。『女性の部下の活かし方』(メディアファクトリー)など著書多数。

秋田 稲美(あきた・いねみ)
ドリームマップ普及協会代表理事
女性向けの目標達成ツール「ドリームマップR」を考案し女性活躍コンサルティングを展開。『女心をつかむ魔法のことば』(大和出版)など著書多数。

(遠藤素子=撮影)
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