[6] 成長は辛抱強く、収益性は速攻で
破壊的ビジネスはすぐに成長するものではない。早く成長させる唯一の方法は、規模が大きく、はっきり定義されうる市場に投入することだ。既成の市場では、顧客は破壊的イノベーション製品の強みに関心を持たず、その弱点だけに注目する。これは失敗の方程式である。企業の出資を受けた破壊的ベンチャー・ビジネスは、この障害を乗り越えやすい。ベンチャー・キャピタリストは、成長をますます性急に求めるようになっているが、企業は、コアビジネスが健全に成長しているかぎり、破壊的ビジネスが足場市場を見つけてそこからゆっくり拡大していくのをじっくり待つ余裕が持てるからだ。
経営者は、成長については性急であってはならないが、収益性については急がなくてはいけない。早期の黒字転換をめざすことは、新しい破壊的ビジネスにその特異な強みを特異な形で評価してもらえる市場を見つけさせる推進力になる。固定費を抑えざるをえないため、その新ビジネスは、固定費の高い既成組織のニーズには合わない小口の顧客を取り込めるのである。
イノベーションの理論を理解すれば、経営者は新成長ビジネスを次々に生み出す能力を手にすることができる。
(翻訳=ディプロマット)