納期はどこまで早まるか→イメージに誤解がないか確認する
営業マンはふつう、納期の設定にそれなりの余裕を見込んでいる。いくらか納入を早めてもらいたいとき、多少の融通はきくというのが一般的な理解である。顧客の立場を使い、無理を聞いてもらうことはできるだろう。
とはいえ、無理を通せばその分、何らかの不都合が生じるおそれもある。ウェルネス・アリーナ社長の梶川貴子氏が持論とするのは、「ものには適正納期や適正価格がある」ということだ。
「私たちが手掛けているスパのビジネスは、人間が人間らしくあるために使ってもらうサービスです。うちが無理をいって納期を早めてもらったため、取引先が週末も休めないで働くことになったとしたら、本末転倒ではないですか。お互いのビジネスが成り立つスケジュールや予算をきちんと組んで、無理なことは要求しないというのが基本です」
だから「納期の交渉はしない」という。
一方、交渉にあたって、小暮氏がときに感じるのは「日程のとらえ方に双方で誤解があるかもしれない」ということだ。この場合、納期ではなくTFTのプログラムを開始する時期である。
「この日程では無理ですよ。メニュー作りにもう少し時間がほしい」
企業の担当者が腕組みをして唸ってしまうことがある。
TFT側が想定しているのは、あくまでも「通常の料理より少しヘルシーなメニュー」。しかし相手は、このとき、かなり手の込んだ特別メニューをイメージしている。そこに誤解があると気が付けば、解決するのは簡単だ。
「他社の事例がいくつもありますから、そういうものをお見せして、メニューを含めた業務の全体像を把握してもらいます。それによって、『この日程でも無理はない』と納得していただくのです」