スーパードライを磨いて足したもの

大出バイヤー(右写真・左)は門間(同右)について「1回つくった売り場に満足せず、もっとよくするにはどうしたらいいかを常に考えている」と。

では、アサヒの営業マンたちは、ドライPの絶好調ぶりをいかにして実現させているのだろうか。

群馬県館林市。サントリーの利根川ビール工場が近くにあって、伝統的にサントリーが強いとされるこのエリアで、アサヒのシェアを大きく伸ばした営業マンがいるという。アサヒビール群馬支社の門間真一(33歳)である。

実は門間、某家電メーカーからの転職組だ。09年にアサヒに転じ、翌10年、このサントリーの牙城に送り込まれている。

「自分に人材としての市場価値がどれくらいあるか試してみたくて、転職を決意いたしました」

門間が担当するのは、北関東を中心に56店舗を展開するスーパー「とりせん」である。とりせんのバイヤー、大出俊幸(37歳)は、「最初は線が細そうな営業マンで大丈夫かなと思ったけど、意外に頼り甲斐がありました」と笑う。

あるとき、比較的安価な商品中心だったワイン売り場で、景気回復とともに価格の高い商材のニーズが発生した。

「じゃあ、どうやってそのステージを上げていくかに悩んで、門間さんも含めた弊社に投げかけたんです」

それらのアイデアを融合して一つの売り場にしようとしていた大出だが、門間の提案を見てその考えを一新した。

「各社に伝えたイメージを、より素晴らしい形にして提案してくれたのが門間さんだったんです。自社の商品というより、売り場を軸に考えてることをすごく感じました」