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脳に入る情報の流れを知ろう

図は、そのメカニズムを表したもの。目や耳から入ってきた情報は、視覚や聴覚をつかさどる「大脳皮質神経細胞(1)」の感覚中枢にまず入り、そこから「A10神経群(2)」と呼ばれる部位に送られる。「A10神経群」には、「危機感や感動」「好き・嫌い」「面白そう・つまらなさそう」などの感情をつかさどる神経核が集まっていて、入ってきた情報にこうした「感情のレッテル」を貼り付ける重要な役割を担っている。

なぜ重要なのかといえば、この最初に貼られたレッテルは、脳がその後に情報を理解・判断し、記憶するプロセスのすべてに影響を与えるためだ。最初に「好き」「面白そう」「やってみたい」というポジティブなレッテルを貼られた情報については、脳の理解力や判断力、思考力、記憶力は格段に威力を発揮する。逆に「大変そう」「つまらなさそう」「嫌い」といったネガティブなレッテルを貼られた情報に対して脳は活発に働かない。好きなことには集中できたり、興味のある情報にはすぐに反応する、といった経験は誰にでも覚えがあるだろう。

感情のレッテルを貼られた情報が次に向かうのが「前頭前野(3)」だ。似たようなものを区別したり、筋道が立っているかを判断する部位だ。

その後、情報は「自己報酬神経群(4)」に入る。脳は、「自分への報酬(ご褒美)」が与えられることで機能する。ここでいうご褒美とは、お金やプレゼントといったものよりもう少し高次なもので、達成感や成功体験、「褒められる」「誰かが喜ぶ」といったものである。

情報はさらに、意思決定や運動などをつかさどる「線条体-基底核-視床(5)」、記憶をつかさどる「海馬回・大脳辺縁系(6)」へと向かう。

「外から入ってきた情報は、この(2)から(6)をぐるぐると高速でまわりながら、1つの考えや心を生み出し、記憶されていくのです。つまり、(2)から(6)までの神経群が1つの連合体として機能しているので、私はこれらの神経群を『ダイナミック・センターコア』と呼ぶことにしました」(林教授・以下同)