森下氏自身、ゲームデザイナーであり、製品の開発に直接携わっている。実際のプロセスは、ゲームの核となる遊び方やコンセプトの方向性を思いつくと、それに一番共感してくれそうな社員に相談してスタートする。例えば、パズドラの場合、RPGとアクションでいこうとテーマを立て、スマホに配信するので直感的な部分を重視して作ろうという方向を決めると、2人でディスカッションを始める。そして輪郭が決まると、そこからチームを立ち上げて細部を詰めていくのだ。ゲームの仕様はすべて森下社長自身が作っている。それを練り上げる際のよりどころとなっている考え方が、「直感的」「革新的」「魅力的」「継続的」「演出的」の5つだ。

「直感的」とは、ゲームの説明がなくともユーザーがゲームを見た瞬間にわかるという特性だ。この直感というのは、触感という言葉に置き換えられる。自分のアクションに対するリアクションをいかに直感的に捉えられるかということなのだ。

「革新性」は、これまでに存在しない新しいゲームを開発することである。パズドラが典型だが、RPGとアクションを組み合わせることによって、これまでにはないイノベーティブなゲームが誕生した。

「魅力的」というのは、ユーザーに使いたいと思わせる魅力があるかどうかということだ。構成要素にはビジュアル面のツカミはもちろんのこと、ゲームの楽しさがある。

「継続性」は上記の通り、モンスターを収集、育成、合成、追加などを行うことによって、より長くプレーしてもらえるようにすることだ。

「演出的」は、ゲームの目標と達成を意味する。ユーザーに目標を設定させ、それを達成したときの喜びをどう演出するかということである。パズドラでは、ユーザーが修練度を高めて、上達していることを実感できるような演出を行っている。

パズドラというメガヒットは、これらのキーワードのすべてを踏襲する形で創造された。その中でも、森下氏がとりわけ強調するのが、「直感的」という点だ。実際、ドロップを動かすときの快感は、非常に重視した部分だそうで、市場化の前に幾度も作り直しをしたという。