さらに投資家が注意すべきは、株式型クラウドで購入した株式が売却できるのかどうか。ワーキンググループの報告書策定の過程で「証券会社以外も新興企業株の売買」というタイトルで、未公開株の売買解禁に向けて緩和されるかのような記事を掲載した全国大手紙がある。しかし、改正案が想定している仲介業者の関与は募集業務に限られ、「株式は基本的に持ち切りになるのでは」と見る今回の審議に携わった関係者は少なくない。

こうしたなか、株式型クラウドの仲介業者に名乗りをあげているのが日本クラウド証券で、大前和徳社長は「金商法の改正で証券会社内に新設が可能になる『投資グループ』で売買ができないかと考えています」と話す。ただし、この投資グループのメンバーは、株式発行会社の役員、従業員、株主、取引先などに限定され、通常の公開株のように売買がスムーズに成立するかどうかわからない状況だ。

また、金融商品の問題に詳しい東京合同法律事務所の坂勇一郎弁護士は「仲介業者による投資の判断に重要な情報の開示が募集期間中に限定されているが、後でトラブルになったときに困るのは投資家ではないか」と危惧する。

ワーキンググループのメンバーだった野村総合研究所の大崎貞和主席研究員の「本来、金融市場は自由主義を反映したものであるべきで、ネットを通して資金調達が可能になった時代に合わせて規制が緩和されたことは、十分評価に値する」という意見もあるが、これから誕生する株式型クラウドが証券市場に定着するまでには、相当な時間を要することになりそうだ。

(PIXTA=写真)
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