そして、この投資型クラウドのプラットフォームを運営する仲介業者になる場合、株式型は第一種金融商品取引業者、貸付型とファンド型は第二種金融商品取引業者の登録が求められる。

その際には最低資本金の基準もあって、第一種が5000万円、第二種が1000万円となっている。

それが今回の緩和では「発行総額1億円未満」「一人当たりの投資額が50万円以下」の“少額クラウド”だけを仲介する業者については、おのおの1000万円と500万円に引き下げ、証券会社以外の事業者による“少額募集業者”としての参入を促す方向で動いている。また、株式型クラウドで扱う未公開株は、第一種業者の自主規制団体である日本証券業協会の自主ルールで、その勧誘が原則禁止されてきたのだが、少額クラウドに限って解禁される見通しだ。

実は今回の緩和に関する審議にあたってワーキンググループ内で意識されていたのが、12年4月に米国で制定されたJOBS法(Jumpstart Our Business Startups Act:新規産業活性化法)である。当時の寺田稔金融担当副大臣は、第1回目の会合の冒頭で国内のベンチャー投資が活発でないことを指摘したうえで、「米国ではJOBS法の制定によりまして、クラウドファンディングの制度設計と制度整備もなされたところであります」と発言し、打開策の切り札と考えている姿勢を示した。

確かにJOBS法による株式型クラウドの促進に対して米国内では、「個人投資家の支援によって新たなイノベーションが生まれる」(コンステレーション・リサーチ社のレイ・ウォン主席アナリスト)、「ベンチャーキャピタルとの接点がなかった中小企業や新興企業にとって貴重な資金調達の手段になる」(ロジャーズ・ベンチャー・パートナーズのヴォイテック・シィエヴィルスキー副社長)といった期待の声がある。

しかし、投資に不慣れな人の参加も予想され、投資家保護の対策も必要になってくる。そこでJOBS法は「年間募集総額が100万ドルを超えない」「年収10万ドル未満の投資家であれば、2000ドルまたは年収の5%のいずれか大きいほうを超えない」という要件を設け、日本も金商法の改正のなかで、少額クラウドの規定に同様の措置を講じることになったのだ。