特定の目的のために、通常インターネットを介して不特定多数の人から資金の提供を受ける「クラウドファンディング」が注目されている。

先ごろ米国では、ぺブル・テクノロジー社がアップルのiPhone(アイフォーン)やアンドロイド携帯電話用のアクセサリーの開発資金として、クラウドファンディングで1000万ドルもの資金を集めたことが話題になった。日本でもベンチャー企業や中小企業を中心に活用する動きが徐々に出ている。

クラウドファンディングにはいくつかのパターンがあって、資金の拠出者に何のリターンもない「寄付型」、金銭のリターンがある「出資型」、そして金銭以外のリターンがある「購入型」に大きく分けられる。現在のところ、事例としては購入型が最も多いようだ。

購入型の場合、まず資金を拠出する側からいうと、将来、製品やサービスを受け取るための対価として資金を差し出す。次に拠出された企業サイドは、その資金を利用して製品やサービスなどを開発する。そして完成した段階で拠出者にそれらを提供するというもの。一言でいうと“代金先払い”のようなイメージである。

では、集めたお金は会計上どのように処理されるのだろう。株式への出資のときのように「資本金」になるのか。購入型で考えてみることにしよう。

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クラウドファンディングの会計処理の例

ある製品のプロジェクトでクラウドファンディングを活用して、資金100万円を受け取ったとする。この時点は、「借方=現金100万円」「貸方=前受金100万円」の仕訳が考えられる。集めた資金は資本金ではなく、貸借対照表の負債の部に計上される前受金の扱いになるだろう(図参照)。

その後、製品が完成して資金の拠出者へ100万円分の製品を引き渡し、実質的に販売したとする。この時点で拠出者はリターンが得られたことになる。

そして、企業の経理上は前受金が売上高に振り替えられて、「借方=前受金100万円」「貸方=売上高100万円」と仕訳される。この売上高100万円は、製品完成・引き渡しのときに損益計算書に計上される。