まだ信用力が乏しく、銀行からの融資が受けづらいベンチャー企業や中小企業にとって、資金不足はいつも悩みの種となっている。しかし、製品やサービスが計画段階であっても、そのアイデア次第では、クラウドファンディングで資金を集めて開発の道が開ける。もちろん、銀行からの融資と違って金利も発生しないのも大きな魅力だ。
それだけではない。経営者としては、「わが社の商品を購入してくれそうな顧客」のリストが手に入れられるのに等しく、有効なマーケティング活動につながる。マーケティングの「イノベーター理論」では、そうした顧客を5つに分類する。
冒険心に溢れて新しいものを積極的に採用する「イノベーター」、流行に敏感で他の消費層への影響力がある「アーリーアダプター」、比較的慎重だが平均より早く新しいものを取り入れる「アーリーマジョリティ」。そして、大多数が試しているのを見て選択する比較的懐疑的な「レイトマジョリティ」、さらに懐疑的で革新が伝統になるまで採用しない「ラガード」である。
このうちクラウドファンディングで資金を拠出する人はイノベーターやアーリーアダプターだと思われる。クラウドファンディングを活用することで、実際にその人たちがどの程度存在しそうかの感触が掴め、将来のマーケット規模を想定することもできるようになる。また、アイデアをブラッシュアップする貴重な意見を、彼らからもらえることだってありうるのだ。
それだけクラウドファンディングはメリットが大きいわけで、これから日本でも積極的に活用されるのではないか。
(構成=高橋晴美 図版作成=ライヴ・アート)