テレビコマーシャルの最後に流れる企業名を入れたメロディ。一目でそれとわかるコーポレートカラーの包装紙。どれも企業の顔であり、ブランド戦略の要ともいえる。

しかし、日本で商標権として登録できるのは文字や図形、記号などに限られてきた。そこで特許庁では、商標権の範囲を「音」や「色彩」などにも広げようと準備を進めている。実現すれば、他社から真似されることがなくなって、ブランディングがしやすくなるだろう。

この商標権をはじめ、意匠権、実用新案権、特許権などは「知的財産権」と呼ばれ、企業にとって利益を生む大切な無形の資産になっている。そこで今回は、それら知的財産権を会計ではどのように評価するのかを見ていきたい。

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知的財産権を評価する方法

知的財産権は企業の資産であり、貸借対照表(B/S)の無形固定資産の部に「特許権」などとして計上される。その際の評価方法の基本原則を数式で表すと、「購入・取得代価+付随費用(取得に直接要した出願料・登録費用など)」というような形になる。

ただし、知的財産権については、他社から取得するケースと自社で開発するものに分かれ、おのおの会計処理も変わってくるのだ。前者の場合、購入額がそのまま取得代価となり、登録変更などの付随費用を合算した金額を「特許権」などとして計上する。

一方、自社で研究開発を行って取得した知的財産権については、取得代価をゼロと考える。なぜかというと、それまでに研究開発に要した支出は、すべてその期の「研究開発費」として費用処理をしているからである。

さらに、その研究開発が実際に実を結ぶという保証はどこにもない。だから、資産として計上するわけにはいかないという理由もある。それと「これは成功しそうだから……」などと経営者が勝手に判断して資産に組み込んだら、その企業の“真の実力”を反映したB/Sとはいえなくなってしまう。