研究開発への投資活動が活発化しているという。
研究は新しい知識を構築するための調査や探究をすることで、一方の開発は新製品、サービス、生産方法などについての知識を具体化することである。そうした研究開発は、企業が成長していくために必要不可欠なものなのだ。
2013年度に何千億円単位の多額の研究開発費を投じる企業には、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車や、パナソニック、ソニーなどの名前が挙がっており、自動車・電機などの産業が目立っている。円安によって国際競争力が増した企業が、投資活動を積極的に行う様子がうかがえる。
もちろん、研究開発活動が実を結べば、企業にとっては大きな利益を生む無形の経営資源になる。言い方を換えると、研究開発は将来に向けた積極的な投資でもあるのだ。
その研究開発費には、人件費や原材料費、固定資産の減価償却費など、研究開発のために使われたすべての原価が含まれる。では、会計上の処理はどのようになされているのかを見ていくことにしよう。
論点になるのは、「研究開発費は費用か、それとも資産か」ということだ。
1990年代まで、企業の試験研究や開発のための支出に関する会計処理には、2通りの方法があって、企業はこのうちどちらかを選択できた。その年度に生じた費用として一括処理する方法と、「繰り延べ資産」として処理する方法である。
繰り延べ資産として処理する方法では、「試験研究費」や「開発費」などの名称で、繰り延べ資産としてバランスシートに計上し、その後、5年以内などの一定期間で償却していく。そもそも、研究開発は将来の利益のために支出する投資という性質があり、単年度の費用とするよりも、複数年にわたって費用負担させる考え方には、合理性があるように思える。