ソフトバンクが、2014年3月期中に1000億円の運転資金調達を計画している。注目したいのはその方法で、保有するヤフー株を担保に、三井住友銀行の特別目的会社(SPC)を介して調達するという。

このような資金調達方法は「レポ取引」と呼ばれる。有価証券を貸し出し、その「担保金」として現金を預かる取引である。この担保金が一時的に調達できる資金ということになる。通常、レポ取引は債券で行うことが多いが、このように株式が用いられることもある。

今回、ソフトバンクが用いるスキームでは、三井住友銀行がSPCを設立し、そのSPCにソフトバンクがヤフー株を貸し出す。SPCは株を借り受ける代わりに、ソフトバンクに担保金を差し入れる。

さらにソフトバンクはSPCからヤフー株の「品貸料」を受け取り、SPCはソフトバンクから担保金の利息を受け取る。ソフトバンクにとっては、実質的には手持ちの有価証券を担保として預け、資金を借り入れるという状況になる。

取引期間は1~3カ月程度と見られ、「ヤフー株の品貸料」と「担保金の利息」の差額が、ソフトバンクが負う資金調達コストとなる。仮に品貸料を20億円受け取り、担保金の利息を30億円支払うとすると、資金調達コストは10億円。このコストを「レポ・レート」という。レポ取引に用いられる有価証券は譲渡や転貸はできず、ヤフー株の議決権はソフトバンクにある。あくまでも「一時的に貸し出すだけ」という位置づけとなっている。

ところで、普通に融資を受けるのではなく、このようなレポ取引で資金を調達する理由とは何なのか。