「しなやかさ」の7つの要素

日常的な意味での楽観主義と悲観主義の区別は、効果的に問題を解決する力学を把握するために十分ではない、とベッカーは主張する。だからこそ、わが社はしなやかさという概念を重視しているのだと彼は言う。アダプティブ社の研究開発担当副社長、アンドルー・シャッテによれば、しなやかさには7つの要素が関係している。

(1)現実的な楽観主義(原因の正確な把握から生まれる)
(2)原因分析
(3)自分の能力に対する信頼
(4)共感
(5)感情の制御
(6)衝動の抑制
(7)人生のプラス面を拡大する能力

シャッテは、アダプティブ社が提供する訓練についてこう語る。「人々に、自分の解釈スタイルを疑ってみることを教えている。それによって、より柔軟な見方で問題の原因を突き止め、対処していけるよう手助けしている」。

この訓練は、(現在の)困難と自分の考え、そして予想される結果との関係を詳しく検討することから始まる。

「人間の頭の中では、途切れることなく送り出されてくるチッカー・テープのように、ある特定の考え方(belief)が絶えず流れている」と、ベッカーは言う。「こうした考え方はわれわれの感情や行動に直接影響を及ぼす」。困難にみまわれると、当初はその原因や予想される結果に関する情報がないため、自分の解釈スタイルや陥りがちな思考の落とし穴が強化される。

また、困難に直面すると、自分の解釈スタイルが「正確とはいえない、絶えず流れている考え方をあおり、それによって不適切で柔軟性のない感じ方や行動の仕方をさせることがある」と、ベッカーは言う。

チッカー・テープの速度を落として、困難の原因についての考え方とその影響についての考え方の両方を明確に把握してほしい、とシャッテは言う。

あなたが感情面でどのような経験をしているときでも、「この考え方は私にどんなメリットをもたらし、どんなデメリットをもたらしているか」と自問することは重要だ。「その考え方のために、状況をコントロールする手段があるのに、それに気づいていないとしたら、あるいはコントロール不可能な状況をコントロールしようとして資源を浪費しているとしたら、あなたは問題解決のチャンスを逃していることになる」と、ベッカーは語っている。

※参考文献
『Authentic Happiness:Using the New Positive Psychology to Realize Your Potential for Lasting Fulfillment』(Martin Seligman, Free Press, 2002)
『The Resilience Factor : Seven Essential Skills for Overcoming Life's Inevitable Obstacles』(Andrew Shatte and Karen Reivich, Broadway Books, 2002)

(翻訳=ディプロマット)