――アメリカでも大手と競合すると思いますが、なぜ成長を続けられたのですか。

【MS】アメリカのソーセージは地域ごとに好みが異なるため、同じ商品を全国展開するのは難しいといわれてきました。我々の商品は創業地である中西部の好みに合わせたものが多いのですが、品質の高さとコストパフォーマンスの良さには自信があった。だから一度でも食べてもらえれば、地域ごとの好みを超えて、支持してもらえるという確信がありました。

――小売業世界最大手のウォルマートからプライベートブランド(PB)の開発を依頼され、断ったことがありますね。

【MS】我々は安売りはしません。それは顧客の求める品質を満たすためです。いま我々はウォルマートのベストサプライヤーです。必ずしもPBを出すことだけが正解とは限らないと思います。

――非上場を貫き、家族経営を続けています。なぜ上場しないのですか。

【MS】力強い経営には長期的視野が欠かせません。当社では、従業員をメンバー、上司をコーチと呼んでいますが、それは我々が短期的利益を追うことではなく、メンバーの成長をミッションとしているからです。私の父で社長のラルフは「Flight of the Buffalo」という言葉で説明します。野原を疾走するバッファローの群れは、一頭のリーダーが死ぬと動けなくなる。一方、雁の群れはV字編隊で飛びますが、先頭を飛ぶリーダーは次々に交代します。バッファローのように強いリーダーシップをもちながら、雁のように誰もがリーダーとしての素質をもつ。そんな組織をつくるには家族的な経営が適していると思います。

ジョンソンヴィル・ソーセージLLC 副社長 マイケル・ステイヤー
1966年、米国ウィスコンシン州生まれ。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院 MBA。創業家の3代目にあたり、ジョンソンヴィル・インターナショナルLLC 代表取締役社長を兼務。責任者となって以降、国際部門は急激な成長を遂げて、赤字から脱却。製品の販売は35カ国まで拡大した。
(永井 浩=撮影)
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