大量採用の40代バブル入社組。就職氷河期で少数精鋭の30代。20代のゆとり君……。組織内の立ち位置はどうなっているのか?

バブル崩壊後の経済停滞期“失われた20年”の影響によって、社員の人口構成が大きく変化した企業が少なくない。

かつての人口構成は年齢が高くなるほど社員が少なくなる“ピラミッド構造”が普通だった。しかし、40代と20代に対して、中堅の30代が少ない“砂時計構造”“ひょうたん構造”になってしまった企業が増えている。20~10年ほど前は、不況で企業が新卒採用を大幅に絞り込んだ“就職氷河期”だったためだ。

別掲のリクルートワークス研究所が調べた、全国民間企業求人総数の推移を見ると、1991年卒をピークとするバブル期の山と、2009年卒をピークとするリーマンショック前後の山があることがわかる。そうした歪な人口構成のしわ寄せを、いま最もこうむっているのが、企業の将来を担うべき30代だといえよう。

ある鉄鋼メーカーも、砂時計型の人口構成になってしまった企業の一つ。同社の人事部にいる40代の渡辺幸雄さん(仮名、以下同)は30代の後輩たちを見て、「仕事量への負担感が高いようです。社内アンケートでも、仕事に対する満足度が全世代で最も低い。仕事が多い割に人数が少ないので、手が回らなくなっています」と話す。同社では30代が、実動部隊として組織を最前線で支えている。係長、課長クラスもいて、海外事業のプロジェクトリーダーとして多くの部下を抱え、現地で指揮を執っている人も多い。

大学を卒業後に入行したメガバンクで営業職7年目という桜井里香さん(仮名)も、30代の先輩行員たちを「超多忙」と見ている。「管理職手前の30代は、チームの成績を引っ張る責任を負っていて、課せられたノルマも重い。傍から見ていても大変そうです」という。

30代は実務をこなしながら、部下や後輩の管理・指導、社内調整といった業務が増える世代でもある。コンサルティング会社に勤める30代の北原弘明さん(仮名)は、「任される仕事の分野が多岐にわたるようになって、常にプレッシャーを感じています。顧客、社内の他部門、部下といった具合に、相手によって対応を変えなければならず、コミュニケーション能力も要求されるので正直いってしんどい面も多々あります」とこぼす。