右肩上がりの時代と違って、現在は低成長・マイナス成長の時代であり、企業の先行きには不透明感が漂う。20代にとっても、出世競争は激しくなる一方だ。桜井さんは、「28~30歳で課長代理になれるかどうかが、出世レースの第一関門。しかし、いまは同期で2割くらいしかなれないのが現状です」と、こぼす。
上の世代は、いまの20代をおおむね優等生タイプが多いと見ている一方で、注文もあるようだ。
まず「若いくせにおとなしい、覇気がない」といった評価が目立つ。住宅設備メーカーの営業課長である40代の竹内さんは、「自分が20代のころは、上の世代を何かと突き上げていたものです。ところが、いまの20代は、意見があっても自分からはいいません」と話す。それが「積極性に欠ける」といった不満にもつながっている。また、渡辺さんがいうような「問題が起こっても、自分から現場に飛び込んでいくことをしたがらない傾向が強いようですね」という意見もある。
自分の殻にこもりがちで引っ込み思案、受け身――。いまの20代には、こんなタイプが増えているようだ。とはいえ、いまも昔も、「いまどきの若い者は――」とぼやくのが年長者の常。若手は若手なりに苦労しているわけで、きっといい分はたくさんあるはずだ。
では、上の世代は、彼らとどう接していこうとしているのか?
竹内さんは「私たちは上司や先輩の“背中”を見て仕事ぶりを学んだものです。ところがいまの20代は、自分で一から問題を見つけて考えることが苦手です。そこで20代の部下には、まずヒントや課題を与えるようにしています。そこまでやってあげれば、後はなんとか自分で行動できるようになってくれるので」と話す。
また、人材サービス会社の企画の仕事に携わっている30代の山本直樹さん(仮名)は「素直さ、プラス思考、勉強好きの3要素があれば、若手は伸びます」と実体験を踏まえて語る。
結局のところ20代の実力は未知数で、評価はこれから。真っ白なキャンバスのように、さまざまな可能性がある。上の世代が、彼らの背中をうまく押してあげることが、彼らの行く末を左右することになりそうだ。
ただし、同じ20代といっても前半と後半では大きな差がある。20代前半について、いま注目されているトピックスがある。それが“ゆとり君”“ゆとりちゃん”の社会人デビューだ。